エゾハサミムシ(♀)

2008年7月5日

愛知県西加茂郡三好町

夜、自室にいると居間から家内の悲鳴が聞こえます。こういうときはたいていの場合何か変な虫が現れたときです。 デジカメとフィルムケース(虫を入れるため)を持って居間に向かいました。 見てすぐハサミムシの仲間であることは分かりましたが、見たことのない長いハサミを持っており、背中の小さな鞘バネには濃黄色の紋が３つ見えます。 私にはハサミムシは全く守備範囲外ですので、すぐさまフィルムケースに入れて自室に戻り、図鑑で調べてみました。 しかし図鑑ではそれらしきものが見当たりません。すぐインターネットでハサミムシに詳しそうなサイトを調べ、そこの管理者に写真を送って調べていただきました。 正体は、クギヌキハサミムシ科のエゾハサミムシだそうです。

エゾハサミムシ(♀)

2008年7月5日

愛知県西加茂郡三好町

エゾハサミムシは北海道から対馬を除く九州まで広く生息しており、愛知県でも勿論採集記録は残っているそうです。 しかし、その採集記録自体が少なく、愛知県では三河地方の山間部で数例に限られるそうです。 私の住む西加茂郡三好町は名古屋市と豊田市に挟まれた郊外のニュータウンですが、車で数分も走ればギフチョウや平地性ゼフィルスが生息するポイントが何カ所もある里山との境界でもあります。 とはいえ、高層マンションの居室内において採集されたこと自体が非常に珍しく、「近くの雑木林から飛翔してきたのだろう」とのことでした。背中の小さな鞘バネの下に空を飛べるほどの後ろ翅が隠されているんですね。 採集した固体は調べて下さった名古屋昆虫同好会の河野勝行氏に生きたまま贈呈しました。