ゴマダラチョウ(黄色色素欠落個体)

ここでご紹介するゴマダラチョウの飼育は、黄色い色素が欠乏したと思われる
色素異常のゴマダラチョウの幼虫の飼育の様子です。　　　　　　　　　　　

各写真をクリックすると、大きい写真が見られます。(ブラウザ機能で戻ってきてね)
このページの発見現地での写真は、宝塚の岡田氏からご提供をいただいています。

	阪神高速道路の敷地内(フェンス内)のエノキから写真のような非常に美しい青色のゴマダラチョウの幼虫が発見されました。 (2009年10月25日) (写真撮影:岡田氏(宝塚))
	同じ木にいた前の写真とは別の個体です。同じ母蝶から産卵された兄弟だと推定されます。20m程離れた２本の木に3頭+5頭の合計8頭の水色の幼虫を見つけたとのことです。 (2009年10月25日) (写真撮影:岡田氏(宝塚))
	２週間後に再度同じところで変わらない姿で再発見されました。最初発見されたのは8月中旬に1齢幼虫で発見されたそうですが、その頃はあまり気にならず、行く度にすぐ姿を見つけられるようになって気になり始めたとのことです。 (2009年11月8日) (写真撮影:岡田氏(宝塚))
	越冬から目覚めた幼虫が脱皮したときにどんな色になるか非常に興味がありますが、越冬幼虫(茶色っぽく変色)してからではどれがそれか分からなくなる恐れがあるため、岡田氏にお願いして1頭を送っていただき飼育することにしました。 (2009年11月8日) (写真撮影:岡田氏(宝塚))
	送っていただいた越冬幼虫(左端)です。その他の幼虫は私の地元で比較のために採集してきた幼虫です。越冬直前で既にちょっとくすんだ色になりかかっていますが、確かに普通のものとは色が全く異なります。 (2009年11月17日)
	前の写真の中央3頭をアップで。左端がブルーの幼虫。中央は越冬前の通常の幼虫。右端が越冬色になった通常の幼虫です。 (2009年11月17日)
	冷蔵庫の中で越冬した幼虫たち。左がブルーだった幼虫、右が通常の幼虫です。ブルーの方は茶色ではなくかなり黒く見えます。 (2010年4月10日)
	越冬から明けてエサを食べ、間もなく脱皮して終齢幼虫です。さてさて、いったいどんな色で出てくるでしょうか (2010年4月29日)
	脱皮して終齢になりました。エノキの新芽に似せて背面に赤い模様が付いていますが、やはり側面は透きとおったようなスカイブルーです。 (2010年5月1日)
	前の写真の翌日撮影したものです。背面の紅色が抜けてきて益々スカイブルーが鮮やかになってきています。 (2010年5月2日)
	さらに翌日、地元の普通の色のゴマダラチョウの終齢幼虫と並べて撮影してみました。交差法の立体写真にしてみました。明らかに色が違うのがよく分かるでしょう。 (2010年5月3日)
	さらに翌日、背面までかなり青くなってきました。 (2010年5月4日)
	さらに翌日、大きく太った幼虫を背面から交差法の立体写真にしてみました。 (2010年5月5日)
	前の写真と同日の夜、今度は斜め背面から交差法の立体写真にしてみました。たった半日で背中の赤みがさらに抜けています。 (2010年5月5日)
	一緒に飼育している普通のゴマダラチョウの終齢幼虫です。全く色が違いますね。 (2010年5月2日)
	さらに1日経ったブルーの幼虫を側面から交差法の立体写真にしてみました。前の普通のものと比べてみてください。 (2010年5月6日)
	二日後前蛹になったブルー幼虫を背面から交差法の立体写真にしました。 (2010年5月8日)
	同じ前蛹を側面から交差法の立体写真にしました。 (2010年5月8日)
	翌日蛹化しましたが、蛹も当然スカイブルー。 (2010年5月9日)
	反対側を見たら、何と蛹化に失敗していました。これで無事羽化できるんだろうか… (2010年5月9日)
	蛹も普通のものと並べて色を比べてみました。 (2010年5月10日)
	8日後、蛹化失敗にも関わらず、何とか翅をクシャクシャにしながらも羽化してくれました。一見普通のゴマダラチョウと全く変わらないようですが、予想どおり変わっているところがありました。どこだか分かりますか？ (2010年5月18日)
	羽化翌日にポカリスエットのエサを与えています。通常のゴマダラチョウは複眼と口吻が黄色です。色素ではなく構造色の複眼は黄色ですが、色素で黄色くなるはずの口吻が白くなっています。前の写真でもよく見ると口吻が真っ白になっています。やはり黄色の色素が欠乏している個体であることが確認できました。成虫での色素欠乏の個体は明確に分かりますが、幼虫では判りにくいためこのような例はまず聞いたことがありません。非常に貴重な例になったのではないでしょうか。 (2010年5月19日)